「自分のスキンケアに自信がなくて、SNSでの情報に振り回されてしまう」
そのお気持ち、本当に良く分かります…
私自身が中学の頃から26歳になるまで、ニキビのできる場所や状態に波はありながらも、ずっと悩んできた張本人だからです。
エステティシャンがこのようにお尋ねしたときに、
と、よく考えずにお答えになるお客さまが大勢いらっしゃいます。
また、悩んでいらっしゃるのが「思春期ニキビ」か「大人ニキビ」かによっても有効なアプローチは異なります。
「思春期ニキビか大人ニキビのどちらなのか」
「生活習慣で見直せることはないか」
じっくり時間を掛けて向き合って、自信を持って続けられるお手入れ方法を身につけましょう。
ニキビとは
ニキビは「尋常性ざ瘡」と呼ばれる皮膚疾患です。
過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まる
外的刺激により角質層が肥厚する
ことにより、毛穴が塞がれてしまいます。
塞がれた毛穴に詰まった皮脂が酸化し、繁殖したアクネ菌が炎症を起こすことでニキビになります。
毛穴と皮脂腺
顔面では毛は細く毛穴は小さいのに対し、皮脂腺が非常に大きく発達しています。そのため、毛穴に皮脂が詰まりやすく、ニキビができやすいと言えます。
皮脂分泌は性ホルモンによって促進され、10代後半でピークを迎えます。
女性は黄体ホルモンの影響で生理前に皮脂が増えます。更年期になると皮脂が急激に減少するのもこのためです。
季節による変化もあり、夏には冬の倍近くの皮脂が分泌されます。
ニキビの発症プロセス
白ニキビ
角質肥厚により、毛穴の出口が塞がれている状態。皮脂が毛穴の内部で固まり、出口が尖っている。
黒ニキビ
毛穴に詰まった皮脂が、肥厚して塞がれた毛穴から皮膚表面に顔を出した状態。汚れや酸化により、先端部分の皮脂が黒くなっている。
※このタイミングで黄色く膿が見えてきたものは、膿を押し出した方が早く治ることもあります

「思春期ニキビ」と「大人ニキビ」
思春期ニキビ
皮脂分泌は性ホルモンによって促進され、10代後半でピークを迎える
好発部位:Tゾーン
鼻やおでこなどの皮脂分泌の多い部分を中心に顔全体に発生する
原因:過剰な皮脂分泌
毛穴の数や皮脂腺の大きさは遺伝的要素が強い
化粧品:油分の多いものを避ける
適切な洗顔により皮膚の清潔を保ち、オイルフリーのスキンケアにすると改善しやすい
大人ニキビ
バリア機能が低下した肌では、炎症が長く続き跡が残りやすい
好発部位:Uゾーン
頬・フェイスライン・顎や口まわりなど、顔の下半分を中心に発生する
原因:ストレスや不規則な生活習慣
ストレス・ホルモンバランスの乱れ・偏食・睡眠不足・便秘・アルコール・タバコなど生活のあらゆることが影響する
化粧品:十分な保湿でバリア機能を取り戻す
スキンケアだけでは改善しないことが多く、生活改善など地道な努力が必要となる
一方、バリア機能の低下が原因となる「大人ニキビ」では皮脂を根こそぎ取り除こうとは考えず、十分な保湿が重要。
ご自身のニキビがどちらのタイプか把握できたからといって、自宅でのスキンケアに自信が持てるわけではありませんよね。お肌のトラブルは一瞬で解決するものではありません。悩みは一人で抱えるには大きくて重たいものです。
有効なニキビ予防
清潔を保つ
摩擦や刺激を避けるため、よく泡立てた洗顔料で汚れや皮脂を取り除きます。思春期の皮脂分泌が過剰なときでも、1日2回の洗顔で十分です。サロンでは、エステ前の酵素パックで皮脂やタンパク質を除去することで、施術の効果を高めています。
有効成分を配合したアイテムを取り入れる
【抗炎症】グリチルリチン酸2K、トラネキサム酸など
【抗酸化】ビタミンC誘導体、フラーレン、プラセンタなど
【角質柔軟】ベタインなど
【角質剥離】パパインなど
※当サロンでは、パパイヤやキウイなどフルーツの食物アレルギーを持つ方や敏感肌の方には「パパイン酵素パック」の施術は行っておりません。
ターンオーバーを整える
角質は厚すぎるとお肌の代謝を妨げますが、薄すぎるとバリア機能が低下しトラブルを招きます。
ニキビで炎症を起こしているお肌では、ターンオーバーが乱れて(早まって)います。成熟した角質細胞が表皮の一番上できれいに並んで皮膚を保護することで、健康なお肌が実現します。
良かれと思って行ったピーリングがお肌を傷めている場合もあるので、角質ケアは自己判断ではなくプロに相談することをお勧めします。
しっかり睡眠をとる
お肌の再生が行われるのは、睡眠中。睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が高まる深夜0時までに眠れるように努力しましょう。起きている間は血液の多くが脳の活動のために使われますが、睡眠に入ると、血液が身体中の内臓やお肌にまで行き届いて酸素と栄養を運びます。それにより組織の再生と修復が行われます。
良質な食事を心がける
ビタミンAが不足すると毛穴を塞ぐ角質肥厚を招き、ビタミンB2・B6の不足はお肌を脂性に傾けます。偏食を避け、バランスの良い食事を心がけ、足りないときにはサプリメントで補うと良いでしょう。
「チョコレートや揚げ物がニキビに悪い?」と思って避ける方もいらっしゃいますが、現時点では、食べ物とニキビの相関関係について医学的根拠は示されておりません。ご自身の体質・経験則でニキビを作らないために避けたほうが良い食材があれば、避けるのがベターです。
便秘を解消する
腸内に便がとどまっていると、腸壁から有害物質が吸収され、肝臓で解毒しきれずに血液を通じて皮膚に影響すると考えられています。食物繊維の多い食事や水分をしっかり摂り、規則正しい生活をして、便秘に注意しましょう。少なくとも2日1度はお通じがあり、残便感がないのが目安です。
睡眠不足・便秘・下痢・冷え性・むくみ・貧血、、、
これらの不調を放置したまま、お肌をきれいにしようとは考えないでください。
ニキビの原因はなにか一つに絞れるものではなく、ささいな不調の積み重ねによるものです。若いころには問題にならなかった不摂生が、加齢と共に強く影響してお肌のトラブルを引き起こすことも多々あります。
「今までずっとそうして来たから大丈夫」
なんて思わずに、普段の生活を少しずつ見直してみましょう。
「スキンケア」に加えて「睡眠」「食事」「運動」の3つを強化。
長年のツケをを払っていきましょう。
いま始めれば遅くない!
一人で頑張るのがしんどければ、星谷に進捗ご報告ください!
励ましは惜しみませんから。
医者の不養生ならぬ、エステティシャンの不摂生…
合わせて読みたい

参考文献
『美肌成分辞典』かずのすけ・白野実著(主婦の友インフォス)
『エステティシャンのための皮膚科学』(日本エステティック業協会)
『日本化粧品検定2級・3級対策テキスト コスメの教科書』小西さやか著(主婦の友社)
『日本化粧品検定1級対策テキスト コスメの教科書』小西さやか著(主婦の友社)